The story of
Atelier UMINOIE
捨てられるものに価値を見出す
廃材リノベーションにより生まれ変わったかつての海の家
捨てられるものに価値を見出す
廃材リノベーションにより
生まれ変わったかつての海の家
バスの向かいにある、廃墟と見紛われる建物。かつてこの場所が海水浴場だった時代に海の家として使われていた。この建物もバスと並行して夫婦でリノベーションを施した。建物の中に初めて立ち入ったとき、たくさんのコウモリが奥から飛び出てきた。天井が動物の糞溜まりで抜け落ちていたり、床板を踏み抜いたり…。まずは掃除と解体から始まった。
一通り掃除が終わると、中にテントを張って住み込みながらリノベーションを進める。トイレは災害用の簡易トイレ、水はタンクに汲んできて、汚れた身体は水浴びや日帰り銭湯で清める日々。穴があいて雨漏りする屋根のトタンを張り替え、朽ちた柱をすげ替え、頑丈になるよう壁を新たに設ける。ひと通り躯体がしっかりしたら、床を張り、壁を仕上げていく。
できるだけ新しい資材を買わず、解体現場で廃材を頂いたり、ほかの人が不要になった材料や海の家に眠っていた素材を再利用したり。あるものを工夫して使う楽しさを味わいながら創作する。鳥や動物が、集めてきた材料で巣づくりをするように、そのとき手に入った素材を使い、夫婦二人でゆっくりコツコツ手づくりした空間だ。
山陰と海風のおかげで夏はエアコン無しでも涼しいが、冬は寒いため、薪ストーブを設置し、効率を高めるために断熱を施し、居心地がだんだんと良くなってきた。
しかし、なにぶん広いので、手をかける部分はまだまだたくさんある。空いた時間に少しずつ進めているので、ペースはのんびり、5年経った今でも完成はしていない。ほかにも並行して創作を始めたこともあり、そっちに時間を費やしていると、果たして完成するのかどうかも怪しくなってきた。西浦のサグラダ・ファミリアと言われる日も近いかもしれない。